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邪悪なものの鎮め方

金持ちも貧乏人も、宝くじに当たる確率は変わらない
そんな世の中でも楽しく生きられる

内田樹
バジリコ木星叢書思想・哲学・評論] 国内
2010.01  版型:B6
>>書籍情報のページへ
レビュワー/堀和世

部分の価値は全体にしか決められない。先ほどの例に従えば、2つに切られたケーキの一方を選んで、その重さが51グラムであると分かったとして、もう一方を選ぶのとどちらが得でどちらが損だったかを知るには、元のケーキが何グラムあったかを知らなければならない。しかし、元のケーキという全体はなくなってしまったから見えないし、測れない。道徳を規律やルールとして理解している人は、51グラムのケーキだけを見て「これは多かったのか少なかったのか」と判断しようとしている人である。

そういう人にとって、もし物差しが消えてしまったらどうなるか。つまり、規律やルールが突然ガラガラポンになってしまったらどうするか。歴史の中で、また日常生活の中ではそれほど珍しくない。時として「規律やルールがないのだから」と、それまで聖人君子然としていた人が、われ先に商店へ略奪行為に及ぶモラルハザードを生んだりする。

これが、先に「まえがき」から引いたように、内田先生が言うところの「邪悪なもの」とかかわったときに起こる〈私たちの常識的な理非の判断や、生活者としての倫理が無効になる〉という状況でもあるのだろう。そういう中でも、ケーキを皆で平等に分けるためにはどうすればいいのか。そのための知恵のあれやこれやが、この本にはぎゅっと詰め込まれているのである。

現実は神も仏もない、それでいいじゃないか

同じく先に引いた、冒頭に置かれた「二〇〇九年六月六日」の日付がある文章によると、『1Q84』には「かつてない大きな変化」があるという。いわく〈それは「父」が前面に登場してきたことである〉。「父」とは単に「うちの父ちゃん」という意味ではなく〈世界の秩序を制定し、すべての意味を確定する最終的な審級、「聖なる天蓋」のことである〉という。何だかよく分からないから、次の表現を引く。大事な部分である。

〈なぜ、私たちは「父」を要請するのか。それは私たちが「世界には秩序の制定者などいない」という「真実」に容易には耐えることができないからである。現実には、私たちは意味なく不幸になり、目的もなく虐待され、何の教化的意図もなく罰せられ、冗談のように殺される。天変地異は善人だけを救い、悪人の上にだけ電撃や火山岩を落とすわけではない。もっとも惜しむべき人が夭逝し、生きていることそのものが災厄であるような人間に例外的な健康が与えられる。そんな事例なら私たちは飽きるほど見てきた〉

ここでいう「父」とはすなわち、天から降ってくる物差しのことである。内田先生はこう続ける。
〈世界に一気に正義を実現し、普遍的な秩序をもたらそうとする運動は必ず「父」を要請する。けれども、私たちはそれを自制しなければならない。たとえ世界の広大な地域において、現に、正義がなされておらず、合理的思考が許されず、慈愛の行動が見られないとしても、私たちはそれを一挙に解決する万能の「父」の出動を要請してはならない〉

要するに、神も仏もあるものか――でいいじゃないか、ということであろう。金持ちが宝くじに当たってますます富を増やし、貧乏人がずっと貧乏なまま最後に交通事故に遭って死ぬ、なんて映画を仮に作ったら「出来損ないの不条理劇」と言われるだろうが、言い換えれば、現世が不条理であるからこそ、不条理さに物語(天が与えた試練だとか何とか)を付け加えてくれる神や仏を信じるのだろう。

金持ちと貧乏人で、宝くじに当たる確率は変わらない。当たり前だと言われそうだが、私にはとても重要な意味を含んでいるように思われる。人間の条理、つまり人情からすれば、金持ちよりも貧乏人にこそ宝くじは当たるべきなのである。しかし、確率論上はそうはならない。年末ジャンボ宝くじで3億円(1等に前後賞合わせて)を当てた人が、3月のグリーンジャンボで再び2億円(同)を当てる確率は、年末ジャンボにボーナス(激減)をつぎ込んで玉砕した人とまったく変わらない。

10円玉を放り投げて仮に10回連続で表(平等院鳳凰堂が刻まれたほうですね)が出たとする。「10回続けて表だったから次こそは裏が出るだろう」と思うのはやはり人情であって、次に表が出る確率は変わらず「2分の1」である。10回連続で表が出たから11回目は裏にしとこうか、なんて力は自然界には働かない。しかし、1回ずつの結果から目をそらして、すべてを押しなべてみると、表と裏が出る回数は「半々」に収束していく。過去が未来に影響を与えないのははっきりしているのに、過去から未来につながる全体を眺めると、しっかり帳尻は合うようになっているのである。

と、これもまた知ったふうなことを書いていながら、確率論が本当に正しいかどうか、実際に「確かめた」人はいるのだろうかと私は疑う。コンピューターを使ったシミュレーションならいくらでも10円玉を投げ続けられるのだろうが、何兆回、何京回試しても、得られる結果は「近似」である。全体を見ることのできない私たちは、確率論の確からしさにぎりぎりまで理論や実験で近寄っていきながら、最終的には「信じる」しかない。

内田樹の他作品の書評も収めていますので、お楽しみください。
『日本辺境論』 レビュワー/北條一浩 書評を読む
『街場の教育論』 レビュワー/近藤雄生 書評を読む

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