文系人間の不確定性原理 1994年の猛暑の夏、涼を求めてドトールやカフェ・ベローチェをハシゴしながら、私が夢中になって読んでいた1冊の分厚い洋書があった。大判で600ページにもおよぶその本は、デヴィッド・C・キャシディというアメリカの物理学者が書いた『Uncertainty: The Life and Science of Werner Heisenberg』(1992年出版)――1920年代、量子力学という新しい分野で不確定性原理という理論を生み出したドイツの天才物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルクの伝記である(翻訳は4年後の1998年に『不確定性――ハイゼンベルクの科学と生涯』として出版された)。 新藤純子
2011/02/09掲載 >>書評を読む