海炭市叙景
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著
佐藤泰志
小学館
/小学館文庫
[小説]
国内
2010.10 版型:文庫 ISBN:4094085564
価格:650円(税込)
海に囲まれた地方都市「海炭市」に生きる「普通のひとびと」たちが織りなす十八の人生。炭鉱を解雇された青年とその妹、首都から故郷に戻った若夫婦、家庭に問題を抱えるガス店の若社長、あと二年で停年を迎える路面電車運転手、職業訓練校に通う中年男、競馬にいれこむサラリーマン、妻との不和に悩むプラネタリウム職員、海炭市の別荘に滞在する青年…。季節は冬、春、夏。北国の雪、風、淡い光、海の匂いと共に淡々と綴られる、ひとびとの悩み、苦しみ、悲しみ、喜び、絶望そして希望。才能を高く評価されながら自死を遂げた作家の幻の遺作が、待望の文庫化。
おすすめ本書評
- 海炭市叙景/オリーヴ・キタリッジの生活
創作において舞台設定が重要なのは云うまでもないが、どこにでもいる人たちの何でもない日常を描く市井小説において、“町”は単なる場所以上の意味を持つ。自然や風景の描写は、その小説の雰囲気を強調するのに役立つし、歴史的背景や風習が、登場人物の現在に影響を与えている場合もある。方言もノスタルジーを誘うのに有効だろう。しかし、そうした効果以外の部分にも目を向けたい。
瀧源舞
2011/01/13掲載
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