嵐のピクニック
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著
本谷有希子
講談社
[小説]
国内
2012.06 版型:単行本 ISBN:4062177048
価格:1,365円(税込)
優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気を描く「アウトサイド」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い(「哀しみのウェイトトレーニー」)、カーテンの膨らみから広がる妄想(「私は名前で呼んでる」)、動物園の猿たちが起こす奇跡をユーモラスに綴る「マゴッチギャオの夜、いつも通り」、読んだ女性すべてが大爆笑&大共感の「Q&A」、大衆の面前で起こった悲劇の一幕「亡霊病」…などなど、めくるめく奇想ワールドが怒涛のように展開する、著者初にして超傑作短篇集。
おすすめ本書評
- 物語に翻弄されたい
夏である。海の季節である。それにしても海でまっすぐ泳ぐのは難しい。浮き輪につかまってばたばた泳ぎ浜辺を振り返ってみると、自分のビーチパラソルが遥か右手、もしくは左手にあるのだ。いつの間にこんなに斜めに泳いでいたのだろうと思ってしまう。
それと同じ気持ちになる短編集だ。まっすぐ泳いでいるはずなのにいつの間にか思っていた方向とは微妙に、しかし確実にずれていく。振り向いて自分の出発地点が確認できればまだいい。この作品では、もといた場所とは違う世界にたどりついている。
長坂陽子
2012/09/10掲載
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