『太宰萌え─入門者のための文学ガイドブック』が10月5日、毎日新聞社より刊行されました。監修は当サイトでも文芸作品を中心に書評を書いていただいている、おなじみ岡崎武志さん。
岡崎さんからのメッセージをお寄せいただきましたので、コンテンツと併せてご紹介いたします。
入門者が気軽に太宰治の世界に入っていくにはうってつけの内容であり、これまでにないユニークな角度から太宰の素顔に迫ったこの本。太宰ファン、文学好きのみなさまは、ぜひお見逃しなく。
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「太宰萌え」とは、従来のまじめな太宰研究者からするとヒンシュクものだろうが、生誕100年にあわせ、わざとヒンシュクを買うような本を作ることにした。
女性の執筆者による二つの「太宰治のルックス考」はその象徴だが、太宰ファンに女性が多く、ルックスに惹かれたという理由は大きいだろう。
仙台「火星の庭」、東京・三鷹「フォスフォレッセンス」と、古書カフェの女性店主二人も寄稿しているが、いずれも太宰に縁がある。女性が見た太宰像こそが、太宰文学の核心を突く。これは本書を編集して自信を持って言えることだ。
そのほか、マンガあり、設問つき教科書ふうの作品紹介あり、戦後東京の風景写真に太宰作品からの抜粋を重ねたり、太宰文学散歩ありと、盛りだくさんの内容になっている。
入門者から再読者まで、ぜひとも手にとっていただきたい。
帯にはこんなキャッチコピーが書かれている。
「いいじゃない、弱くても。失格でも、こんなに愛しい」
第一章 太宰って
青年期までの太宰治 /佐藤隆之
意外にフツーな人間像 /原卓史
“いい男”への果てしなき道のり /西田りか
すぐできる太宰ごっこ 道化萌え /木村綾子
斜陽館の日々 /前野久美子
ついていきたい人 /駄場みゆき
漫画 グッド・バイ太宰さん /金崎くーこ
第二章 珠玉の作品 教科書風太宰作品のパーフェクト読解 /岡崎武志
「葉」
「富嶽百景」
「女生徒」
「駆込み訴え」
「走れメロス」
「清貧譚」
「待つ」
「メリイクリスマス」
「人間失格」
心で味わいたい一節
第三章 今在る太宰
斜陽館で会う平成の彼 /鈴木久美
三鷹のサロンはこんなとこ /編集部
作家に扮した役者たち /編集部
無名の若者は荻窪で作家になった /萩原茂
いま手に入る太宰治の作品と関連本