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ベストブック10&新人賞へ
●豊崎 はい、わかりました。
じゃあとりあえずですね、次点から決めておきましょうか。10作からはずれるやつ。いままでの話を聞く限りにおいては、次点は朝比奈さんの『声を聴かせて』のような気がする(笑)。
●末國 賛成です。
●吉田 え~、だって私が2位に推した作品なんですよ。
●杉江 まあ、2編のうち1編はダメですからね。仕方ないかな。
●豊崎 とりあえず、『声を聴かせて』は次点固定。
(以下、豊崎さん、計11作品のフリップを、順位付け用ボードへ貼っていく。
まずは『声を聴かせて』を次点へ)
●吉田 ああ、終わっちゃった。
●豊崎 みんなさ、自分が選んだ上位の本を1位にしたいっていう気持ちはあるわけでしょ?
●末國 私は別にないですよ。
●杉江 冷たいなあ。じゃあ『テンペスト』10位でいいじゃん。
(順位ボード『テンペスト』10位へ)
●吉田 じゃあさ、『テンペスト』次点にすればいいんじゃない? 声を大にして言うけど、選んだ人の愛でいうと、末國さんより私の方が強いよ。
(会場 笑)
●豊崎 たしかに愛は大事だね。
●末國 ちがう。作品の質においては、明らかに『声を聴かせて』が劣っている。
●藤田 なんかさ、なまじベスト10に採り上げられたばかりに、明らかに劣っているなんて言われるのは切ないよね……。
●三浦 でもやっぱり『テンペスト』のほうがおもしろいし、10位が妥当だと私は思いますよ。
●豊崎 吉田さん、心の整理はつきましたか?(笑)『モダンタイムス』も、わたしは香織ちゃん派でやっぱり『ゴールデンスランバー』の方がいいと思うんです。
(順位ボード『モダンタイムス』9位へ)
●藤田 もうさあ、『モダンタイムス』、あちこちで話題になっているからいいよ。
●吉田 じゃあ『モダンタイムス』次点でいいから、『声を聴かせて』を9位にして~。
●杉江 それは天が許さないでしょう(笑)。
●吉田 そこを何とか!
●末國 無理ですよ(冷たく)。ところで私、『タチコギ』があんまり好きじゃなかったんですよね。
●藤田 ええー、そんな好き嫌いで言い出したら……。
(会場 笑)
●末國 好き嫌いでいいじゃないですか。これ、読んだ瞬間に『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』じゃないかと思って(笑)。
●三浦 『タチコギ』って、昭和30年代を書かなくちゃいけないのに、なんかちがう感じがある。
●藤田 30年代じゃないよ。昭和50年代だってば(笑)。
●三浦 あっ、そうか、2008年の30年前って設定だから勘違いしちゃった。妙に昭和レトロに書かれてるからかな。だって、ナポリタンやオムライスになじんでない子どもが出てくるんだもん。
●豊崎 三浦姐さんは昭和30年代をよく知っているから(笑)。でも、おもしろくないんじゃだめなんじゃないの。8位でいいよ。
(順位ボード『タチコギ』8位へ)
●藤田 ええーっ、おもしろいってば!
●三浦 というか、今9位に置いてある『モダンタイムス』は『タチコギ』よりは上でしょう。
●杉江 そうですね。でも途中でいろいろ言うとキリがないから、あとで調整をしましょうよ、それは。
●末國 私は『サイゴン・タンゴ・カフェ』がいらない。
●吉田 あんたは黙ってて!(怒)
●杉江 喧嘩だ(笑)。あんた呼ばわりかよ。
(会場 笑)
●藤田 怖いよお。落ち着こうよ(笑)。
●吉田 だってさあ、だってさあ。
●藤田 私、『カニバリストの告白』は、どうでもいいんだけどなあ。
●豊崎 私もデヴィッド・マドセンってずっと好きだけど、『フロイトの函』の方が断然上だと思う。7位かな?
(順位ボード『カニバリストの告白』7位へ)
●杉江 ああいいですよ、全然かまわないですよ。十位以内に入っていれば御の字。私は、譲ってもいいところはどんどん譲りますから。
●藤田 え?『タチコギ』と入れ替えにする?
●末國 いや、それはないね。
●豊崎 それで私は、『バートルビーと仲間たち』がものすごく好きだけれども、どう、これは6位で? 私にとっては『サイゴン・タンゴ・カフェ』も『退出ゲーム』もいらない小説なんだけれども……。まあ、世の中のエンターテインメント小説が好きな方なんかにとっては、所詮そっちの方が上なのかなっていう気もいたしますし。
●三浦 『バートルビー』、笑えるじゃないですか。
●豊崎 『バートルビーと仲間たち』は、三浦さんと私を好きな人たちだけ読んでくださいってことかな。
(会場 笑)
(順位ボード『バートルビーと仲間たち』6位へ)
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