書評の楽しみを考える Book Japan

 
 
 
トップページ > 連載企画 > 素敵な読書カフェめぐり > vol.12 神保町編 その1「ミロンガ・ヌォーバ」
vol.12 神保町編 その1「ミロンガ・ヌォーバ」

心地良く響くアルゼンチンタンゴ。
こだわりの一杯をレトロな雰囲気の中で。

素敵な読書カフェめぐり神保町編の初回を飾るのは、昔ながらの喫茶店「ミロンガ・ヌォーバ」です。神保町を代表する有名店で、数十年来の常連の方も多いこちらのお店、音楽喫茶・ジャズ喫茶が流行した1953年にアルゼンチンタンゴのお店として開店しました。それから今に至るまで、こだわりの炭火焙煎コーヒーとともに、オールドファンから若いカップルまで多くの人に愛され続けています。タイムスリップしたかのような空間の中で、読書と心地良くリズムを刻むアルゼンチンタンゴをのんびり楽しんでみてください。きっと何十年と通い続けられる、いつものお店の1つになるはずです。

お店へは神保町駅から徒歩で2分ほど。A7出口を出て細い路地をまっすぐ小川町方面へ。書泉グランデの裏手の路地に入れば、わずかに流れ聞こえてくるタンゴのリズム。目の前にレンガ造りの建物がすぐに見つかるはずです。扉を開けると、中央にはどっしりと重厚な木製のセンターテーブル。使い込まれた家具が発するアンティークな香りが漂います。左手の奥にはテーブル席。開店時はこの部分だけだったそうですが、右手の奥にも1部屋増築。こちらは少しゆとりある配置でテーブル席が並んでいます。土・日・休日は終日全席喫煙OKですが、平日なら6:00までは分煙となっています。古くからの喫茶店では全面喫煙のお店が多いので、平日の夜以外でしたらタバコが苦手な方も気持ちよく読書に集中できます。

タンゴ喫茶ということで気になる店内のBGMですが、読書の邪魔になるほどの音量ではありません。むしろタンゴの響きが心地よく、のんびりと寛ぐことがでるはず。お店でかかる曲はCD約200枚とLP約500枚の中から選曲しており、リクエストも可能です。ヨーヨー・マの演奏で一般の音楽ファンにも有名となったアストル・ピアソラなど、気になる曲があればお店の方に声をかけてみてください。そして注目は音響機器。左側の部屋には50~70年代に絶大な人気を誇った、マニア垂涎のアルテック社製のスピーカー。右側の部屋には天井からビクター製の球形スピーカーが下がっています。いずれも年代物で、常連のお客さんが調整してくれたりもしているそうです。

コーヒーはブレンドをはじめ、ストレートコーヒーやウィンナーコーヒーなど十数種類。炭火で深く丁寧に焙煎されているのが特徴です。コーヒーは深煎りによってコクと苦みが増し、酸味が抑えられます。好みにもよりますが、ぜひ味わってみてください。コーヒーが苦手な方にはココアがオススメ。時間をかけて丁寧にじっくり練りこんだココアパウダーが、牛乳と混じり合って豊かな味わいを生み出しています。また約15ヶ国ものビールも揃えており、その種類は30種類以上。ビール党は要チェックです。人気のフードメニューは自家製ピザ。思いの外あっさりとした味わいでサイズも手頃です。ちょっとつまむには良い具合。他にもスイーツ好きには本日のケーキなどもありますので、お試しあれ。

開店より半世紀以上にわたり人々が集まる神保町の名店「ミロンガ・ヌォーバ」。タンゴのリズムを刻みながら来る人を魅了し続けています。タンゴが好きな人、本を読む人、昔からの常連さん、思い出の店になっている人、神保町で働く人、休日の恋人達…。なぜ、神保町という喫茶店・カフェが多くある街で、様々な人たちに愛され続けているのか。本を片手にその理由を感じてみてください。
それでは、ぜひ素敵な読書カフェの午後をお過ごしください。次回も神保町のカフェをご紹介しますのでお楽しみに!

「店名はタンゴの前身となった音楽形式〈ミロンガ〉から。そこに95年の改装時に新しいという意味の〈ヌォーバ〉を加えました。改装といっても雰囲気は開店当初のままですから、何十年ぶりかでいらしたお客さんも変わってないと懐かしんでくれました。コーヒーの香りとタンゴのリズムの中で、のんびりとご自分の時間を過ごしてもらいたいです」と店長の浅見さん。オススメの一冊は「藤沢嵐子 タンゴの本」。藤沢嵐子さんとは、日本におけるタンゴの女王と呼ばれた方で、お店にもいらしていたそうです。興味をお持ちの方には店内での貸し出しOK。お店で曲をリクエストしつつ読んでみてはいかがでしょう。他にもアルゼンチンタンゴに関係する本などを、入口付近においてありますので、こちらも手に取ってみてください。

アルゼンチンタンゴに欠かせない楽器「バンドネオン」。アコーディオンに形は似ているが、音色や演奏方法など全然違う楽器だとか。なかなか手に入りづらい希少な品。

タンゴのリズムと重厚なサウンドを楽しませてくれる年代物のスピーカー。マニア垂涎のアルテック社製。

使いこまれた重厚なセンターテーブル。木製のイスやテーブルはレトロな雰囲気が漂う。 こちらが増築した部屋。温かい灯りが点っており、手元の本を読むにも十分な明るさ。 天井から下がるビクター製の球形スピーカー。壁には写真は彫刻などが飾られている。 写真は丁寧に作りあげたホットココア。コーヒーもこだわりの深煎り炭火焙煎。 シンプルな味わいが人気の自家製ミロンガ・ピザ。ゆで玉子やサラミなどが乗って、手頃なボリューム感。 藤沢嵐子 タンゴの本
―ブエノスアイレス~東京(1981年)

ミロンガ・ヌォーバ

千代田区神田神保町1-3
tel.03-3295-1716
Mon.-Fri.Open10:30am-22:30pm Sut.&Sun.&Holidays.Open11:30am-19:00pm 定休日:無休
●オススメメニュー
ミロンガ・ブレンド…600円/カフェウィンナー…700円/ココア(H・I)…700円/ミロンガ・ピザ…800円/本日のケーキ…400円

boopleで検索する

お探しの書籍が見つからない場合は、boopleの検索もご利用ください。Book Japan経由でのご購入の場合、Book Japanポイントをプラスしたboopleポイントを付与させていただきます。

booplesearch


注目の新刊

Sex
石田衣良
>>詳細を見る
失恋延長戦
山本幸久
>>詳細を見る
自白─刑事・土門功太朗
乃南アサ
>>詳細を見る
ガモウ戦記
西木正明
>>詳細を見る
怨み返し
弐藤水流
>>詳細を見る
闇の中に光を見いだす─貧困・自殺の現場から
清水康之湯浅誠
>>詳細を見る
すっぴん魂大全紅饅頭
室井滋
>>詳細を見る
すっぴん魂大全白饅頭
室井滋
>>詳細を見る
TRUCK & TROLL
森博嗣
>>詳細を見る
猫の目散歩
浅生ハルミン
>>詳細を見る
さすらう者たち
イーユン・リー
>>詳細を見る
猿の詩集 上
丸山健二
>>詳細を見る
ポルト・リガトの館
横尾忠則
>>詳細を見る
ボブ・ディランのルーツ・ミュージック
鈴木カツ
>>詳細を見る
カイエ・ソバージュ
中沢新一
>>詳細を見る
銀河に口笛
朱川湊人
>>詳細を見る
コトリトマラズ
栗田有起
>>詳細を見る
麗しき花実
乙川優三郎
>>詳細を見る
血戦
楡周平
>>詳細を見る
たかが服、されど服─ヨウジヤマモト論
鷲田清一
>>詳細を見る
冥談
京極夏彦
>>詳細を見る
落語を聴くなら古今亭志ん朝を聴こう
浜美雪
>>詳細を見る
落語を聴くなら春風亭昇太を聴こう
松田健次
>>詳細を見る
南の子供が夜いくところ
恒川光太郎
>>詳細を見る
星が吸う水
村田沙耶香
>>詳細を見る
コロヨシ!!
三崎亜記
>>詳細を見る
虚国
香納諒一
>>詳細を見る
螺旋
サンティアーゴ・パハーレス
>>詳細を見る
酒中日記
坪内祐三
>>詳細を見る
天国は水割りの味がする─東京スナック魅酒乱
都築響一
>>詳細を見る
水車館の殺人
綾辻行人
>>詳細を見る
美空ひばり 歌は海を越えて
平岡正明
>>詳細を見る
穴のあいたバケツ
甘糟りり子
>>詳細を見る
ケルベロス鋼鉄の猟犬
押井守
>>詳細を見る
白い花と鳥たちの祈り
河原千恵子
>>詳細を見る
エドナ・ウェブスターへの贈り物
リチャード・ブローティガン
>>詳細を見る
人は愛するに足り、真心は信ずるに足る
中村哲澤地久枝
>>詳細を見る
この世は二人組ではできあがらない
山崎ナオコーラ
>>詳細を見る
ナニカアル
桐野夏生
>>詳細を見る
逆に14歳
前田司郎
>>詳細を見る
地上で最も巨大な死骸
飯塚朝美
>>詳細を見る
考えない人
宮沢章夫
>>詳細を見る
シンメトリーの地図帳
マーカス・デュ・ソートイ
>>詳細を見る
身体の文学史
養老孟司
>>詳細を見る
岸辺の旅
湯本香樹実
>>詳細を見る
蝦蟇倉市事件 2
秋月涼介、著 米澤穂信など
>>詳細を見る
うさぎ幻化行
北森鴻
>>詳細を見る

Internet Explorerをご利用の場合はバージョン6以上でご覧ください。
お知らせイベントBook Japanについてプライバシーポリシーお問い合わせ
copyright © bookjapan.jp All Rights Reserved.