性の解放が叫ばれる直前の、一九六二年英国。結婚式を終えたばかりの二人は、まだベッドを共にしたことがなかった。初夜の興奮と歓喜。そして突然訪れた、決定的な不和。決して取り戻すことのできない遠い日の愛の手触りを、心理・会話・記憶・身体・風景の描写で浮き彫りにする、名匠マキューアンによる異色の恋愛小説。
新潮クレスト・ブックス『初夜』
著 イアン・マキューアン 訳 松村潔 2009年11月27日発売
定価 1785円(税込) 四六判変型 新潮社
1948年、英国ハンプシャー生まれ。シンガポール、北アフリカのトリポリなどで少年時代を過ごす。サセックス大学を卒業後、イースト・アングリア大学創作科大学院修士号取得。1976年、第一短篇集でサマセット・モーム賞を受賞、その後『時間のなかの子供』『黒い犬』など話題作を相次いで発表し、1997年刊行の『愛の続き』がブッカー賞最終候補に。翌年『アムステルダム』で同賞受賞。2001年刊行の『贖罪』は全米批評家協会賞など多数の賞を受賞、世界的ベストセラーに。名実ともに現代英文学を代表する作家のひとり。オクスフォード在住。
『初夜』については、江南亜美子さんによる書評も収めていますので、ぜひお楽しみください。>>書評を読む