ケンタッキー州トマスヴィルで、もっとゴージャスでセクシーな美貌の、独身四兄弟が経営するカフェ&バー〈ウィンストン・タバーン〉。長男のコールは落ち着いた大人の魅力。次男のチェイスは物静かな男の魅力、三男のゼーンは野性的で奔放な魅力、末っ子マックは陽気な人気者の魅力。
すでに既刊『流浪のヴィーナス』でヒーロー役を務めた三男ゼーンを除く、今回は3人の兄弟たちがそれぞれ主人公となる3つの中編を収録しています。
1話目「はじまりはココアとともに」は、長男コールの話。
〈ウィンストン・タバーン〉の近所でランジェリー・ショップを経営するソフィーは、厳格な叔母の元で育てられたせいもあって、26歳にして処女。そんな彼女の唯一の楽しみは、仕事終わりに、このカフェ&バーに来て、1杯のココアを飲むこと。黒髪に暖かいウィスキー色の目をした神々しいほど格好いいオーナーのコールは、いつも彼女にホイップクリームをサーヴィスしてくれる。だがコールの独身主義は有名で、36歳という彼の年齢を鑑みても、それが本気であることは間違いない。
ソフィーは次のバレンタインデーまでにコールに処女を捨てさせてもらうためにある計画を胸に秘めていた。架空の人物である双子の妹シェリーになりすまし、大胆に彼に迫るのだ。しかし、コールのほうにも、兄弟総がかりのある計画があったのだ。それは、〈ウィンストン・タバーン〉主催のミスコン、バレンタイン・コンテストにソフィーを参加させて、優勝させて、副賞としてコールと彼女がデートするとういうものだった。ソフィーが通い始めたときから、コールもソフィーの虜だったのだ。二人がそれぞれに意図を秘めていたことから、それぞれの計画は微妙にズレ始めて……
第2話「おせっかいなキューピッド」は、次男チェイスが主役。
ハロウィン・パーティの飾り付けを兄弟とその親しい人々でしていたとき、その不思議な現象は起こった。近所のランジェリー・ショップでソフィーのアシスタントを務めるアリソンの心の声が、なぜかチェイスに聞こえるようになったのだ。アリソンはチェイスのことを欲していた。そのとたん、チェイスは、キュートな丸眼鏡に古風なドレスの彼女が気になって仕方がないことに気づく。だがどうしてアリソンの声だけが聞こえるのか。そしてどうしてこれほどまでにアリソンは、チェイスと情熱的な関係になりたいと思っているのか。
思い切って、彼女の家を訪ねたチェイスは、そこでシャワーを浴びながら、何もない空間に向かって話しをするアリソンの姿を目にする。そう、アリソンは、幽霊付きの家に住んでいたのだ。夫婦のその幽霊たちは、かつてのこの家の住人で、死ぬ前に、宝石を家のいずこかに隠したという。情熱的な関係を築ける者にその宝石を譲りたいと願い、アリソンに白羽の矢を立て、彼女の思い人であるチェイスに彼女の心の声が聞こえるように細工したというのだ。にわかには信じがたい話だったが、さらに宝石を狙う者が現れて……
第3話「あの笑顔にもう一度」は、末っ子マックが活躍。
ランジェリー・ショップに新しく男性用下着のラインをもうけるにあたって、カタログのモデルになってほしいとソフィー、アリソンから頼まれたマック。指定されたフォトスタジオに行くと、そこには、かつての憧れの女性ジェシカの姿が。数年前、大学で、写真技術の授業を取った際、陽気に騒ぐマックたちを尻目に、つねに凜として授業に望んでいた彼女だった。本当に欲しいと思ったのは、彼女しかいなかった。そのジェシカが、担当のカメラマンとして現れたのだ。マックの心は浮き立った。
一方、ジェシカは、大事な授業中に気を散らすマックのことをもちろん憶えていた。ジェシカには離婚歴と幼い娘があり、かつての夫はマックのように誰からも愛される、しかし責任感のないダメ男だった。マックにどうしようもなく惹かれるものの、彼はあまりにも元夫を思い出させる。素晴らしい姿態で、ジェシカへの気持ちを隠そうとしないマックに、ジェシカは始め苛立ちを覚えるが、写真を撮り、彼の内面に触れるうちに、マックと元夫の違いが見えてきて……
三者三様の魅力がたっぷり楽しめる、オトクな1冊。1話目は変装もの、2話目は幽霊もの(&特殊なプレイあり……)、3話目は年下ラブもの、と飽きがきません。あったらいいのにこんな店。☆☆☆☆
ラブ・バラエティ度☆☆☆☆☆
理想のカフェ&バー度☆☆☆☆☆
とてもおすすめ | ☆☆☆☆☆ |
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おすすめ | ☆☆☆☆ |
まあまあ | ☆☆☆ |
あまりおすすめできない | ☆☆ |
これは困った | ☆ |