鬼談百景
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著
小野不由美
メディアファクトリー
/幽ブックス
[小説]
[SF・ホラー]
国内
2012.07 版型:単行本 ISBN:4840146519
価格:1,680円(税込)
小野不由美が描く九十九の怪異。読むほどに不穏な闇は深まり、恐怖がいや増すーー。百物語怪談文芸の最高傑作、ここに誕生! 『幽』好評連載に加え新作十八編を書き下ろし収録。
おすすめ本書評

- 『鬼談百景』小野不由美
怪談の極意は、秀でた語り手の存在に尽きる。
例えば、「未来へ」と題された怪談がある。これは、校庭内に据えられた少年少女の銅像が校舎からの転落死を誘うという話だ。銅像の呪い、なんていかにも類型的な題材に見えるだろう。しかし、お話の冒頭にある銅像の「人差指の先端が切り落とされているのだ。」という一文にどきりとさせられる。指の先っちょが切断されている理由は最後に明かされるが、何気ない風景に隠れた細かい変異を生生しく表現することで、いきなり生理的嫌悪感を怪談の聞き手に植え付けるのだ。
挟名紅治
2012/09/25掲載
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