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少年は残酷な弓を射る (上)
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著
ライオネル・シュライヴァー
[小説]
海外
2012.06 版型:単行本(ソフトカバー) ISBN:4781607829
価格:1,785円(税込)
キャリアウーマンのエヴァは37歳で息子ケヴィンを授かった。手放しで喜ぶ夫に対し、なぜかわが子に愛情を感じられないエヴァ。その複雑な胸中を見透かすかのように、ケヴィンは執拗な反抗を操り返す。父親には子供らしい無邪気さを振りまく一方、母親にだけ見せる狡猾な微笑、多発する謎の事件…そんな息子に“邪悪”の萌芽を見てとるが、エヴァの必死の警告に誰も耳を貸さない。やがて美しい少年に成長したケヴィンは、16歳を迎える3日前、全米を震撼させる事件を起こす―。100万人が戦慄した傑作エモーショナル・サスペンス。女性作家の最高峰・英オレンジ賞受賞作。
おすすめ本書評
- 木曜日、闇は光を凌駕する
「親愛なるフランクリン」。エヴァはそう夫に語りかけ続ける。
エヴァは世界各国を旅し、旅行ガイドを執筆するジャーナリストだった。恋人のフランクリンと結婚し二人きりの気ままな暮らしを経て、やがて彼女は母になる。息子のケヴィンを自然の多い環境で育てたいとフランクリンが望んだため、3人は郊外の大邸宅に引っ越す。そこには絵に描いたような幸せがあるはずだった。
しかし今、彼女は地元の旅行会社の雑用係として働いている。友達はいない。スーパーに買い物に行けば、目を離したすきに彼女のカートの中の卵は誰かに割られてしまう、そんな嫌がらせも日常茶飯事だ。もう旅に出ることもない。小さな古びたアパートに1人で暮らし、職場と家を毎日往復するだけ。そして土曜日には刑務所に面会に出かけていく。そしてフランクリンに長い手紙を書くことで、自分の過去を旅している。
長坂陽子
2012/07/05掲載
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