三四郎 改版
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著
夏目漱石
新潮社
/新潮文庫
[小説]
国内
2011.02 版型:文庫 ISBN:4101010048
価格:340円(税込)
熊本の高等学校を卒業して、東京の大学に入学した小川三四郎は、見る物聞く物の総てが目新しい世界の中で、自由気侭な都会の女性里見美禰子に出会い、彼女に強く惹かれてゆく…。青春の一時期において誰もが経験する、学問、友情、恋愛への不安や戸惑いを、三四郎の恋愛から失恋に至る過程の中に描いて「それから」「門」に続く三部作の序曲をなす作品である。
おすすめ本書評
- 駅――匿名の群衆と東京の「私」
「共通項のある書評」として、「群衆の中の孤独」をテーマに、三冊について書く。
夏目漱石の前期三部作は、近代日本のインテリが辿る運命を追った小説群である。大学生の青春物語『三四郎』は上京小説であり、続く『それから』は三十路男の遊民小説、『門』は、犯した過ちに負い目を感じ、逼塞する夫婦者のひきこもり小説として読めるだろう。そこには明治の東京が横たわっている。主人公たちは、東京へ「やってきて」→「むなしく回遊し」→「落ちこぼれていく」のである。
北條一浩
2011/03/28掲載
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