伝奇集
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著
ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳
鼓直
岩波書店
/岩波文庫
[小説]
海外
1993.11 版型:文庫 ISBN:4003279212
価格:735円(税込)
水が一滴もない土地で、老人たちに洗面器一つで水泳を教えようとする娘(「水泳チーム」)。英国のウィリアム王子をめぐる妄想で頭がはちきれそうな中年女 (「マジェスティ」)。会ったこともない友人の妹に、本気で恋焦がれる老人(「妹」)―。孤独な魂たちが束の間放つ生の火花を、切なく鮮やかに写し取る、 16の物語。カンヌ映画祭で新人賞を受賞した女性監督による、初めての小説集。フランク・オコナー国際短篇賞受賞作。
おすすめ本書評
- 『伝奇集』ボルヘス 「幸福な胃もたれ」
この短編集は二つのセクションから成る。『八岐の園』、『工匠集』という題名が付けられていて、それぞれの冒頭に二頁ほどの短い「プロローグ」が載っている。この書評では『八岐の園』部から三編を取り上げ、『八岐の園』全体を通して使われることばのひとつ、「無限」について、筆者の考えを交えつつ語る。この本に収められたすべての短編はおそろしく密度が高く、「レクラ」の惑星をかたどったショコラのように、二粒続けて食べると胃もたれがやってくる。筆者はなるたけ敷衍しつつ――溶かして牛乳と混ぜるように――語りたいと思う。
藤田祥平
2011/02/18掲載
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