君も書評王の島に行ってみないかーっ!
いや、いきなり失礼しました。「書評王」とは、当代随一のブック・レビュワー、豊﨑由美氏が主催する講座「書評の愉悦」における造語である。同講座では毎回課題を定めて受講者と豊﨑氏、講座のゲストとして呼ばれたプロの書評家が書評を書き、匿名で回覧して採点、集計の上で最高得点を獲った者を顕彰するということをずっと続けている。その最高得点者が書評王なのだ。詳しくは講座の公式ブログ「書評王の島」を参照のこと。
このシステムの恐ろしい点は、匿名で採点を行うため、プロが必ず勝利を収めるとは限らないということである。豊﨑氏も毎回書評王になれるわけではなく、ゲストに至っては過去に4人しか栄冠に輝いたことがない(これは自慢だけど、私は1回勝ちました)。まさに実力本位。それだけに腕が鳴る、という人もいるだろう。
豊﨑氏がこのシステムを取り入れたのは、「相手はプロだから」「自分はアマだから」といった無用の気遣いを受講生から取り除き、まっさらな気持ちで書評行為に向き合うようにさせたかったからだと思う。豊﨑由美がすごいのではない。ゲストの○○がすごいのではない。そこに表わされた文章がすごいのだ。真剣に対象に向かい合い、彫琢する努力を惜しまなければ、誰でもきっと書評王になれる。書評という行為に正攻法はないが、上へ行こう、腕を磨こうという意志は絶対に報われるようになっている。そうした思いから「書評王」システムを作られたのに違いない。プロアマ問わず原稿を募集するBookJapanは、全面的にその方針に賛同します。
このたび、その豊﨑由美氏の協力を得て、BookJapanとしては初のトークイベントを開催することになった(詳細は下記)。もちろん豊﨑氏とは、書評の現在や本を読むという行為について忌憚なく議論を闘わせるつもりだが、単に聴講するだけのイベントではもったいない、という思いから、「書評の愉悦」の出前講座を行うことにした。あなたの書評をぜひ寄稿してほしい。イベントでは、通常の講義と同じ形式で豊﨑氏と私がその書評を評する。優秀作にはなんらかの顕彰を行う予定だ。
もちろん、書評は残念ながら書けなかったけど、講義の内容を聞くだけでも参加したい、という人もどうぞ。会場では自由に質問することができるので、疑問に思ったことはなんでも聞いてください。イベントの内容に関することだけではなく、書評についてかねてから疑問に思っていたこと、なんていう質問も歓迎である。読書という行為が大好きな人、本によって救われているという感謝の念を持つ人、書評という行為に関心がある人、来たれ。当日はおおいに盛り上がろうではないか。
日時 5月25日(水) 19時開場、19時30分開演
場所 新宿Club EXIT
(詳しくはこちらも参照のこと。http://go-livewire.com/index.html)
料金 前売:1500円、当日:2000円
出演 豊﨑由美、杉江松恋
※書評講座への参加の仕方
1)課題作は下記とします。どちらかを選んでください。
西村賢太『どうで死ぬ身の一踊り』(講談社文庫)※表題作のみ。
J・P・マンシェット『愚者(あほ)が出てくる、城塞(おしろ)が見える』(光文社古典新訳文庫)
2)書評を800~1200字で書いてください。なお、その際想定する媒体名を(朝日新聞)などのようにカッコつきで文末に明示してください。どのような媒体に適した書評か、ということも判断の材料になります。
3)〆切は5月20日(金)(※18日から延長しました)です。以下のメールアドレスに、メールにそのまま貼付するか、プレーンテキストの形式で添付してお送りください。
newbookjapan@gmail.com
2011年4月27日 杉江松恋拝