書評の楽しみを考える Book Japan

素敵な読書カフェめぐりでは、今回からファッション・アート・カルチャーの情報発信地である青山・表参道のお店をご紹介します。青山・表参道はブランドショップが華やかさを競うショッピングエリア。また、学校が点在する学生街、デザイン系などの会社が多数あるオフィス街、と様々な顔を持つ懐深い街でもあります。しかし、その賑わいも、カフェでゆっくり読書を楽しむにはちょっと気になるところ。そこで今回の青山・表参道編では、街の喧噪から少し離れ、ゆったりと読書タイムが過ごせるお店をご紹介していきます。1店目は青山キラー通りにあるお店。のんびり過ごしたい休日の午後、ショッピング後のブレイクタイムやアフター5など、いつでも自分にあった過ごし方を見つけられるカフェのご紹介です。

銀座線・外苑前駅3出口から出て、青山ベルコモンズを右へ曲がるとキラー通りとも呼ばれる外苑西通り。4～5分ほど歩いて、反対側にあるワタリウム美術館を目印に、右の路地に入ればすぐに白壁の小さなカフェが見つかるはずです。2005年オープンのカフェの名前は「Flaneur（フラヌール）」。「フラヌール」とは、フランス語で「（都市生活をおくる）遊歩者」という意味。その名の通り、生活の中で気軽に立ち寄りたい、そんな居心地の良いカフェです。店内に入ると、まずは手作りスイーツが並んだショーケースが目に留まります。チーズケーキやパウンドケーキがふっくらとして美味しそう。1Fはキッチンやレジになっていて、奥の階段を上がった2Fと3Fがカフェスペースです。
カフェスペースの雰囲気は、全体的にシンプル。とはいえ、不定期ながら模様替えをするなど、常連となって通い詰めても飽きがきません。店内の壁はギャラリースペースとして、様々な作品を展示してあります。2Fは1～2人席中心で、壁際にはカウンター席もあります。3Fは2Fと雰囲気が異なり、より落ち着けるソファ席で、ちょっとした時間での読書なら2F、長時間なら3Fという使い分けはいかがでしょう。椅子やソファは古家具屋さんで探しだして、その椅子に合う手作りのテーブルを用意したそうです。暗くなってくれば、各テーブルをほのかな灯りのキャンドルで温かくライティング。BGMはジャズやボサノバが中心で、音量も読書に邪魔にならない程度で流れています。お店を訪れるお客さんは女性が比較的多いようですが、シンプルな内装は男性にとっても居心地の良さを感じるはずです。

ドリンクメニューはカフェラテやカフェモカなどの定番コーヒー、紅茶やソフトドリンクなど約30種類。他にもこだわりのオーガニックワインがそろっており、ワインと本の世界に陶酔する、そんな過ごし方も良いのでは。スイーツは人気のベイクドチーズケーキや小麦粉を使わずに焼きあげたガトーショコラなど、すべてがホームメイド。軽く食事を採りたい方には、スライスしたカンパーニュ（田舎風パン）に、チーズやナッツ類などバラエティ豊かな具材をトッピングしたクロストーネがオススメです。こういう片手で持てる食事が読書にはうってつけ。その他のランチメニューは、日替わりのパスタ・ライスプレート、月替わりのカレー・スープがあり、全5種類。一週間のメニューはブログ上でチェックできます。
青山・表参道ではオシャレなカフェが多い中、意外に少ない静かにくつろげるカフェ。買い物に出かけた時、ぽっかりとできた時間、じっくり読書にふけりたい休日、独特の時間が流れるこの小さなカフェをぜひ訪れてみてください。きっと、その時の自分に合った時間と空間に出会うことができるはずです。
それでは、ぜひ素敵な読書カフェの午後をお過ごしください。次回も青山・表参道のカフェをご紹介しますのでお楽しみに！

「スタッフやお客さま、皆さんが様々な物を持ち寄ってできたのがフラヌールです。多くの感性が交錯してできた空間の中で、お客さまに思い思いに過ごしてもらえれば嬉しいです」とオーナーの相澤さん。店内の小物やBGMなどもスタッフの方が持ってきたものが多いそうです。最近読まれた本を相澤さんに伺ったところ、子供の頃に読んだジュール・ヴェルヌの「八十日間世界一周」を再読されたとのこと。小さい頃から本好きだったという相澤さん、その世界観がカフェフラヌールにも反映されているのでしょう。

自家製スイーツはどれも好評。テイクアウトでお土産にどうぞ。

2Fと3Fを繋ぐ階段に置いてある本や植物。気になる本があれば、もちろん手に取ってもいいそうです。