書評の楽しみを考える Book Japan

ひとつの街からいくつかの素敵な読書カフェをご紹介するこの連載ですが、「恵比寿」からは今回がひとまず最後。とっておきの静かな隠れ家「Cafe Douce Ebis（カフェ・デュース・エビス）」…ゆっくりと静かに本と向き合いたい、そんな方にぴったりの落ち着いた小さなカフェのご紹介です。

JR恵比寿駅から広尾・白金方面へ歩いていくと、みずほ銀行がある五叉路に出ます。たばこ屋の手前の細い路地に入り、豆腐料理のお店の先で右へ。すると閑静な住宅街に入っていきます。突き当たりまで進めば、くの字型のゆるやかな上り坂。坂を上りながら周囲を見渡すと、緑も見えてどこか懐かしい雰囲気です。恵比寿にもあるんだなあ、こういう場所。坂を上りきったら、右手の細い路地の奥へ進み、赤い地色に白文字の看板を探しましょう。住宅に挟まれたお店は見つけにくいかも知れません。ですが、それがまた良いんです。これこそ、とっておきの隠れ家。初めて行く時は、迷わないようにこのページやお店のホームページを控えておくことをおすすめします。

お店の扉を開くとすぐに階段があります。自宅を改築したものなので、靴を脱ぎそうになりますが大丈夫。そのまま階段を上っていきましょう。約15席ほどの店内はほぼ1・2人席。奥にソファ席が1つあるだけです。自分だけの世界にゆっくりと入り込むには、この奥のソファ席がいいかも。お客さんも1人がほとんどで、女性の方が多いようです。ちなみに、こちらのお店は全席禁煙席。隣の人の煙に嫌な思いをする事がないのは嬉しいですね。店内は北欧風の家具がアイボリー～ブラウンのワントーンで統一されていて、プチホテルのラウンジか落ち着いたサロンのよう。BGMの音量はかなり押さえてジャズ・ピアノなどが静かに流れています。ほっと一息つける居心地の良さは読書をするのにこれ以上ないほどです。

メニューは飲み物や食べ物の素材にもこだわっていて、体に優しいものばかり。芯まで焙煎したこだわりのコーヒー、ハーブティーやお茶、フルーツジュースなどもとってもお手頃なお値段。深煎コーヒーと低温殺菌ミルクをあわせたカフェ・オレは飲みやすく、人気があるそうです。毎週末仕入れる季節のケーキや日替わりの焼き菓子をコーヒーや紅茶に合わせて本とともに楽しむのも読書カフェならではの快適さ。

「Douce」とはフランス語で「心地よい」という意味。体にいいものと居心地の良さに、こだわりぬいたお店。お気に入りの本を片手に、とっておきの隠れ家として「Cafe Douce Ebis（カフェ・デュース・エビス）」を一度訪ねてみてください。きっと次に行く時は、少し複雑な道さえもちょっとした楽しみになるはず。それでは、ぜひ素敵な読書カフェの午後をお過ごしください。次回からは、おしゃれで上質なお店が数多くある、東京「銀座」のカフェをご紹介していきますので、お楽しみに！

「体にいいものを、落ち着いた雰囲気の中で味わっていただきたいです。特にコーヒーは豆から淹れ方までこだわっているんです。ぜひ、お茶を飲むような感覚でブラックのコーヒーを楽しんでいただきたいと思っています。」と「Cafe Douce Ebis（カフェ・デュース・エビス）」オーナーの鹿内さん。 最近の愛読書もコーヒーの本だそうです。4人の女性が描く短編小説『コーヒー4杯分の小さな物語』、コーヒーをより楽しめるエッセイ『休みの日には、コーヒーを淹れよう』、様々な視点でコーヒーをとらえた研究本『もっと知りたいコーヒー学』。

落ち着いた暖色系で統一されている店内。