今年も後半に入り、いよいよ話題の作品の刊行が相次いでいます。そこで今回の[B.J.ピックアップ]では8月後半の国内小説注目作をピックアップしてみました。
【8月26日掲載】
いまトップの人気を誇る伊坂幸太郎の新作がついに刊行。『あるキング』―野球王になるべく育てられた少年のファンタジックストーリーです。これまでとはひと味違うこの作品。ファンならずとも小説好きであれば読まずはいられない物語の登場です。
そして純文学系でのおすすめはこれ―前作『夜』で男の「性」と「愛」を描き新境地を開いた橋本治の新作『巡礼』。ゴミ屋敷の主となった男の孤独な魂を抱きとめる、恐るべき傑作長篇です。
さらに以下の三作品にご注目を。
『東京バンドワゴン』で人気を確立した小路幸也の新しいカタチの家族小説『brother sun 早坂家のこと』。戦争を舞台にした小説で今年読んでほしい作品の筆頭、名も無き兵隊たちの人間ドラマを描いた短編連作集、古処誠二『線』。東京日本橋の老舗デパートを舞台に、スパイスの利いた人間悲喜劇が展開される真保裕一『デパートへ行こう!』は、あの人気作品『ホワイトアウト』を彷彿とさせる設定です。
伊坂幸太郎作品については書評を多数収めていますので、ぜひお楽しみください。
『モダンタイムス』レビュワー/酒井貞道 書評を読む
『ゴールデンスランバー』レビュワー/杉江松恋 書評を読む
『死神の精度』レビュワー/杉江松恋 書評を読む
『砂漠』レビュワー/杉江松恋 書評を読む
【8月25日掲載】
米澤穂信と北村薫の新作『追想五断章』『元気でいてよ、R2ーD2。』…両作品が同時に発売されるとは、このふたりの作品ならばなにを置いても、というファンも多いはずなので、まさに僥倖とでも言いたいうれしさ。北村薫『元気でいてよ、R2ーD2。』はもちろん直木賞受賞後の第一作です。
ホラーマニアには、昨年、日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃作、飴村行の『粘膜人間』第二弾にして、以前からリリースされていたとおりの〈粘膜〉シリーズ作品、待望の『粘膜蜥蜴』が登場。今回もまた、背筋も凍る、これでもかのいやーなシーンの連発。さらに、あの「髑髏」に当たる飛び道具も登場!!
働く人を応援する小説で高水準の小説を発表し続けている山本幸久の新作『床屋さんへちょっと』、恋愛小説でこれもまた見事な作品を連発している小池真理子の新作『熱い風』も発売されました。
米澤穂信作品については書評を多数収めていますので、ぜひお楽しみください。
『小市民シリーズ』レビュワー/酒井貞道 書評を読む
『古典部シリーズ』レビュワー/北條一浩 書評を読む
『インシテミル』レビュワー/酒井貞道 書評を読む
『ボトルネック』レビュワー/相川藍 書評を読む
飴村行の注目の新刊『粘膜蜥蜴』については、杉江松恋さんによる書評を近日中に掲載します。(→掲載しました >>書評を読む)
同じく杉江松恋さんによる「飴村行・日本ホラー小説大賞長編賞受賞記念インタビュー」、
酒井貞道さんによる『粘膜人間』書評も、どうぞお見逃しなく。
「飴村行×杉江松恋」インタビューを読む
『粘膜蜥蜴』レビュワー/杉江松恋 書評を読む
『粘膜人間』レビュワー/酒井貞道 書評を読む